一般社団法人こども映画教室
「こども映画教室®」は、2004年に金沢で金沢コミュニティシネマの1企画としてスタート。2013年に拠点を東京に移し、任意団体として「こども映画教室®」を続けてきました。
2019年1月、「こども映画教室®」は法人化し、「一般社団法人こども映画教室」になりました。
今まで以上にたくさんのこどもたちへ「映画」を通した様々な出会いを届けていきます。
一般社団法人こども映画教室 理事ごあいさつ
代表理事:土肥悦子((有)シネモンド代表/ワークショップデザイナー)
「こども映画教室®」のお手本は映画『100 人の子供たちが列車を待って いる』に出てくるアリシア・ベガ先生の「こども映画教室」です。チリ の極貧地区 ポ ブ ラ シ オ ン に暮らすこどもたちは教室に通ううちに自信をつけ、目を輝 かせていきます。 「この国で一番つらい思いをしているのはこどもたちだから」「彼らの 想像力を引出し、自分がこの世で唯一の存在であるという意識を持てる ように」映画教室を開くのだとアリシア先生は言います。 私たちは 2004 年にこども映画教室をはじめてから、初日に自信なさげ にしていた子が最終日には堂々と舞台挨拶をする姿を何度も観ました。 映画には人を育てる力があると痛感したのです。そんな映画教育を多様 な環境にあるこどもたちのもとに届けていきたいと思います。
『100人の子供たちが列車を待っている』
1988年 チリ
監督:イグナシオ・アグエロ
チリのサンティアゴ郊外の貧しい子供たちに向けて映画の魅力を伝える女性・アリシア・ベガと、子供たちの交流の様子を約半年間記録したドキュメンタリー映画。
チリで、アリシア先生に会いました!
土肥 悦子 プロフィール
シネモンド代表、一般社団法人こども映画教室代表理事、金沢コミュニティシネマ代表、ワークショップデザイナー。2015年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。
ミニシアターブーム全盛期の1989年に映画配給興行制作会社ユーロスペースに入社し、買付、宣伝を担当する。アッバス・キアロスタミやレオス・カラックスなどの作品を担当。『そして映画はつづく』(晶文社刊)企画・翻訳。1998年にミニシアター「シネモンド」を金沢に開館。2003年「金沢コミュニティシネマ準備委員会(現金沢コミュニティシネマ)を立ち上げる。2004年から金沢で「こども映画教室」をプロデュース。2011~2013年、東京新聞「言いたい放談」にて隔週でコラムを執筆。2012年アミール・ナデリ監督『駆ける少年』配給宣伝を手がける。2012年青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー育成プログラム修了。2013年、東京で任意団体「こども映画教室」を立ち上げ、その活動を横浜、川崎、福島、弘前、八戸、尾道、高崎、上田、など全国に広げている。
2017年には東京国際映画祭とタッグを組んで初の中学生向けティーンズ映画教室を開催予定。
編著:『そして映画はつづく』『こども映画教室のすすめ』『映画館(ミニシアター)のつくり方』
専務理事:諏訪敦彦(映画監督/東京藝術大学大学院教授)
映画づくりというのは不思議な体験である。たった数日、たった数週間の体験が何かとてつもなく大きく、強烈なものとして人生に刻まれてしまう。大人もこどももそれは変わらない。それは、必死に考えたり、全力で走ったり、ありえないことを想像し、泣いて笑って、おおよそ生きるために必要なありとあらゆる力を総動員して、もうひとつの人生を作り出す営みだからなのかもしれない。
すでに10年を超える「こども映画教室®」の体験を通して、私たちが実感したのは、それが単に「映画を教える」教室などではなく、とても言葉で解きほぐすことのできない豊かな人間教育の可能性を秘めているという確信である。
そして私たちは今その可能性を「新しい教育」として実現してゆくスタートラインに立っている。
諏訪 敦彦 プロフィール
1960年生まれ、広島県出身。東京造形大学テサイン学科在籍中から映画制作を行い、1985年、監督・制作・脚本・撮影を担当した短編映画「はなされるGANG」が、第8回ぴあフィルムフェスティバルに入選。テレビトキュメンタリーの演出も手がけ、1995年の作品「ハリウッドを駆けた怪優/異端の人・上山草人」は高く評価された。1997年、映画『2/デュオ』で長編映画監督デビューを果たす。シナリオなしの即興演出という独自の演出手法は、この頃から確立。1999年、『M/OTHER』で第52回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、第14回高崎映画祭最優秀作品賞、第54回毎日映画コンクール脚本賞を受賞。アラン・レネ監督の『二十四時間の情事』をリメイクした『HStory』、パリを舞台に日仏スタッフで制作した『不完全なふたり』、演技経験のない9歳の女の子を主人公にした『ユキとニナ』など、どれも「シナリオなし」で作られた実験的な制作方法が取り入れられている。2019年、フランスの伝説的俳優ジャン=ピエール・レオーを主演に迎えた『ライオンは今夜死ぬ』を発表した。東京藝術大学大学院映像研究科教授。
また、映画教育を「映画を探究する場」として位置づけ、東京造形大学、映画美学校、東京藝術大学大学院で学生たちとコラボレーションもしている。
最新作は、18年ぶりに日本で撮影した「風の電話」。
藤岡朝子
山形国際ドキュメンタリー映画祭理事
原悟
NPO法人 上田映劇 副理事長
(一社)長野県観光機構 信州フィルムコミッションコーディネーター
林知一
弁護士
ひとりひとりの人間が、新たな出会いで、変わっていく。出会い方によって、予測のできない自分を発見をしていく主体的な経験となる。わくわくする時間、未知に立ち向かう不安な時間、考えさせられる時間、人間を好きになっていく時間。こども映画教室がそういう場を作ってきていると思い、賛同してその活動を支持します。
映画製作の現場との運命的な出会いから十数年。「何者でもなかった」自分は、少なくとも「何者か」にはなれたかもしれない。それでも私は未だ、映画に教えられ、育てられ、生かされている。映画の制作過程がどれほど人や地域に影響を与えるか、私はそのことをこれまでずーっと、自分の身をもって体感し続けてきました。そんな私だから、やっぱり子どもたちにも「映画」に出会って、未来を切り拓いてもらいたい。そう、思う。映画はいつでもそばにいて、賢くて、愛と勇気をくれる、自由で楽しい存在だ。「映画」の力って本当にすごいから!
ある写真家は、新幹線の窓越しに景色を眺めるとカメラのファインダーを覗くときと同じ感覚になると言います。枠があると意識が集中するのだと。この感覚に私は非常に興味を持ちます。何気なく目の前を流れ行く時間と空間に、枠があることで、そこに視線が生まれる、意識が注がれる、そして、豊かな意味が見出される。映画体験は多くないため語れることはないですが、人生で一番感動したフィルムはGiuseppe Tornatoreの“Cinema Paradiso”(1988)、一番多く見たフィルムはThe Rutles “All You Need Is Cash”(1978)というモキュメンタリーです。