こども映画教室@ヨコハマ2014
2014.8.1[FRI]~8.3[SUN]
特別講師:諏訪 敦彦
プロデューサー:土肥悦子
プロジェクトマネージャー:神原健太朗
チームリーダー:飯岡幸子 大川景子 上田謙太郎 西原孝至 中井聖満
事務局スタッフ:工藤 雅子 長井仁美 長谷川恭子
1日(金)10:00~16:00 おはなしづくり・素材さがし/ロケハン/撮影
2日(土)10:00~16:00 撮影
3日(日)10:00~19:00 撮影/編集/上映会のチラシ&ポスターづくり/上映会
主催:ヨコハマこども映画教室実行委員会
協力:東京藝術大学大学院映画研究科映画専攻
後援:横浜市教育委員会
助成:神奈川県、子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)助成活動
本年で2年目の開催となる、こども映画教室@ヨコハマは、灼熱の太陽が照りつける真夏の8月1日から3日の3日間にかけて開催された。東京藝術大学大学院映画研究科映画専攻の協力および、横浜市教育委員会からの後援を受け、同大学浜校地馬車道校舎をメイン会場としてワークショップを開催した。昨年度に引き続き、神奈川県および子どもゆめ基金からの助成受け、継続的に開催できたことは本活動の活動意義と効果を評価していただけた結果と考えられる。
映画を “みる・しる・つくる”を3日間かけて行うこのプログラムの特別講師には、代表作「M/OTHER」「ユキとニナ」など即興演出で有名な諏訪敦彦氏を迎えた。
メニューは、特別講師である諏訪氏の作品『ユキとニナ』を“みる”、映画づくりのひみつを“しる”、ファーストシーンからものがたりを“つくる”。
本プログラムの大きな特徴は、「ファーストシーンを探せ!」というテーマであった。まず、映画の出だしの映像を決めて、その“場所”からストーリーを紡ぎ出すという革新的なアプローチだった。これはカタチとしての映画作り、つまりどうやって撮り、どのように作業をするのかを学ぶ場にするのではなく、もっと映画そのものにこどもたちがダイレクトに出会う機会をデザインするという諏訪氏の意向を反映したアプローチであった。
街に出て、自分が面白いと感じたものを各自写真におさめ、グループで持ち寄ってイメージからお話を紡いでいく。初めて出会った誰かが“おもしろい”と思ったイメージを共有し、グループ全員でそのアイデアを成長させていくスタイルは柔軟性に長けたこどもたちだからこそなせる方法であったのかもしれない。
監督、照明、役者という役割さえ決めず、脚本もないまま、わくわくしたコンセプトだけを抱えてファーストシーンを撮り始めるうちに、徐々に自分の得意分野を見つけていくこどもたちの姿が印象的であった。誰に指図されるわけでもなく、なんとなく自分の場所を探り当てて獲得していく姿は、そのまま彼らにとって“自信”となっていった。こどもたちが、映像製作という共同作業を通じて、コミュニケーションとトライ&エラーの中から創造性と自立性と自分の言葉を獲得していく過程は本ワークショップの醍醐味とも言えるだろう。
限られた時間の中で行われる映像ワークショップでは、しばしば“編集”という過程になかなか時間かけることが難しい場合も多い。しかし、諏訪氏の考案した仕掛けで、こどもたちに編集で映画を完成させるということを強く意識してもらうことに成功し、結果として
単なる映像の寄せ合わせではない“映画”としての完成度が格段に向上した。
上映会で自分たちが作った作品を大勢に見てもらうことの恥ずかしさ、嬉しさを経験したこどもたちの表情は3日前とは比べものにならないほど自信と達成感に溢れていた。
本プログラムはこども映画教室の可能性と包容力を格段に広げる結果となった。こども映画教室が、“こどもと映画のアカルイミライ”を創出する場としてさらに発展していく契機ともなった3日間であった。